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Reginella Campagnola~村の娘~

手作り生パスタ教室「Il Sole」の主催者が日々の生活をお伝えします。



イタリア料理を知る その2 :: 2022/02/16(Wed)

ルッカに到着して三日目。調理実習が始まる朝。けたたましい鶏の鳴き声で目が覚めた。三角屋根にむき出しの太い梁。なるほどここは日本の自宅のベッドではない。学校に隣接したこの寮は、一昨日見たお屋敷の使用人の住まいだったのだろうか。建付けの悪いドアを開けると右側にマッチを擦って火をつけるコンロと小さな流し、その奥の階段を上るとバスルームがあり、右に曲がってもう数段階段を上ると私の部屋がある。石造りの部屋は空気も動かないような寒さだ。なんとかベッドから抜け出して、前日の指示通りに食堂に朝食をとりに行く。モカで沸かしたコーヒーと温められた牛乳。イタリア人が好むかさかさと乾燥した四角いパンと甘いビスケット数種類。マルメラータも数種類。それにヨーグルト。これらは3,4人を一組として分けられた4班が交代に準備する。調理実習も今日は1班がアンティパスト、2班がプリモピアット、3班がセコンドピアット、4班はドルチェという風に行う。

朝食を済ませると一度寮に戻り、初めて着るコックコートに身を包んで厨房に向かった。いよいよ始まるのだ。緊張の初日は校長のジャンルーカの授業。料理の素材や調理法などの説明を聞き、実際に厨房に入ると講師がやって見せる。その後はそれぞれの班が担当した料理を仕上げるという流れだ。
この日は、アンティパストからセコンドピアットまで魚料理だった。ネピテッラという今まで見たことのないハーブを使う。ミントのような清涼感があるハーブだ。イタイアンパセリを刻んだものと一緒にパン粉に混ぜて厚みのあるタラの上に置きオーブンで焼く。ラビオリの中身である白身魚を包丁で叩いたものにもこのネピテッラを忍ばせる。正直よく分からない香りだと思った。

私達はドルチェの担当だった。柑橘類を使ったマチェドニアのようなもの。柑橘類を漬けるシロップはグラニュー糖を鍋に入れて火にかけ一度カラメル化させる。砂糖の焦げる甘い香りが漂って色が茶色くなったら、熱湯を一気に注いでカラメル化を止め、リモンチェッロで香りをつける。レモンの香りが爽やかなシロップが出来上がる。柑橘類はまず上下を落とし、白いワタが残らないように包丁を滑らせて皮をむき、形を崩さないように果肉を小袋から切りはなす。ジャンルーカが一度見せてくれたやり方で20人分のオレンジやグレープフルーツをひたすら剥く。真剣にやった。私の班は3人で、レストランでの調理経験がある長身のケンさん、大学を卒業したばかりの洋一郎さん、そして銀行を退職してやってきた中年の私の3人。

イタリアの魚料理はとてもシンプルだ。素材が良ければ確実に美味しい。イタリア料理というとトマトソースとの組み合わせと連想するが、ルッカ出身のジャンルーカの魚料理はトマトを使わず、たくさんのハーブを使う。アスパラガスはね、土を持ち上げて出てくるのだから、穂先は特に注意して綺麗に洗わなくてはいけないよとか、アーティチョークを使うのは4月までだねとか、チャルタルド産の玉ねぎを使うのはあと一か月だけとか季節の素材を愛おしんで使っていたように思う。春がそこまでやって来ているのが分かるような明るさを感じる料理だった。見たこともないハーブの不思議な香りや、毎朝目覚めるアルプスの少女ハイジの家のような部屋、数日前までオフィス通いをしていた世界とは違う次元に迷い込んでしまったような気がしてならなかった。調理実習が終わった後、すぐに食べた方が美味しいものを昼食に食べ、後は残しておいて夕食に食べる。緊張の初日が終わった。ルッカの夜は月が出れば明るいが、出なければなだらかな丘は闇で覆われる。あたりに一つの電灯もない。

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イタリア料理を知る その1 :: 2022/01/28(Fri)

 ルッカは旧市街を取り囲む城壁で有名な町だ。今は遊歩道になっている城壁の上に立つと、新しい住宅街の先に、トスカーナ特有のなだらかな丘が幾重にも広がるのが見える。
ルッカ料理学院料理に行くには、中世の面影を残す旧市街から、地元のお年寄りや子供達が乗るバスで住宅街を抜け、後は緑の平原が広がるだけという境目のようなバス停で降りる。白い石垣に掘られた、小さなほこらの中のマリア様が目印だ。
その脇の、車が通るのにもやっとの細道を10分歩き、思わずかがみたくなるような小さなトンネルを抜けると、いきなり視界が開けて壮大なお屋敷が現れる。そのお屋敷の脇に立つ小さな建物がルッカ料理学院だ。

 2010年の2月にルッカに出発したのは吹雪の朝だった。成田空港に集まった日本人は11人。ローマで国内便に乗り換えてピサに着くと、学校が用意した小さなマイクロバスが待っていて、薄暗い中をわけのわからないまま学校に到着した。
ひっそりとした食堂に座り、校長のジャンルーカが用意してくれた夕食をほとんど無言で食べた。クレッシェンツァという白いやわらかいチーズとトスカーナのペコリーノチーズ、野菜と豆がよく煮込まれたズッパ、それにほうれん草の甘いタルト。テーブルには赤と白のワインの大きな瓶、それにトスカーナの平たいパン。
今思えばこの地域の典型的な家庭の夕食だ。不安を胸に抱き、寒い一日を過ごした私達には申し分のない夕飯だったと思う。長い旅の始まり。忘れられない食卓。(2010.2.28)

ルッカの学校


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今年も宜しくお願い致します。 :: 2022/01/02(Sun)

2022年が始まりました。
教室にお越しいただいた皆様、昨年は大変お世話になりました。
コロナ禍の中、料理教室を続けられたという事は、何と言っても教室に来て頂いた皆様のお蔭です。
心からの感謝を申し上げます。

12年前に抑えられない気持ちでイタリアの料理学校に行きました。帰国してすぐに料理教室を始めた時は、ものすごい情熱だったと思います。クリスマスレッスンで使ったお皿や道具の中にはよくこんな重いものを持って帰ってきたなというものもあって、すでに40代ではありましたが、あの年代だからまだできたのだと思います。

イタリアにも感染症のことを心配せずに行ける時代でした。もし、今若い料理人がイタリアに行って現地の料理を知りたいと思っても、とても難しい時代です。イタリアに行かなければイタリア料理ができないかといったらそうではなく、不遜な言い方ですが、イタリアで修行した経験がなくても「あぁ、これはイタリアの香りがするな」という料理をする人はいるし、そういう人の話を聞いてみると、ご本人の努力はもちろんですが、教えた人がしっかり伝えたのだなと思います。イタリア料理はそれがお店の料理であっても、家庭料理から派生してますし、土着色が強いものです。イタリアの香りと感じるのは、それらが感じられる時です。

昨年の終わりに、イタリアの料理学校時代のレシピのファイルを眺めていました。毎日、様々なシェフが来てフルコースの授業があるのですが、調理に入る直前にシェフの講義がありました。料理の背景や調理法などの説明です。学校に入って、授業が始まってから数日経った時、これはもしかするととても重要なことを言っているのではないかと思い、詳細にメモを取るようになりました。もちろんそう思ったのは、学校の素晴らしい通訳である森田さんの名調子によるところもあったのですが。12年がたった今、目を細めないと読めない細かい字のメモを読み返し、学校で教えてもらったことを、現時点の理解でブログに書いていきたいと思います。たいていは私が教室で熱弁をふるっている内容と重なると思います。

陽子先生は、ブログも更新しないし、インスタも全然アップしないね!と皆さんから言われますが、なんとか書き切ることを今年の目標の一つとしたいと思います。教室の料理は、ご本人とその大切な方達の心が安らぐお料理をしていきたいと思います。
教室にいらっしゃる素敵なマダムは毎年いくつも目標をたてられるそう。素晴らしいなと思いました。私も見習って、そうそうイタリア語に筋力アップ、具体的には腹筋強化など・・・今年も頑張ります。
教室で皆様にお会いできることを楽しみにしております。本年もどうぞ宜しくお願い致します。

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p.s.クリスマスレッスンで余ったハム類を年末に頂きました。奥のサラミが美味しい・・・。


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ポルチーニ :: 2021/11/15(Mon)

秋が深まったころにモデナのジョバンナのところに行くと、必ずポルチーニを用意しておいてくれる。
コロナウイルスがまだどこかに隠れ住んでいた数年前までのこと。

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日本の松茸の方が香りといい食感といい勝るといつも思ってしまうが、イタリアの人達がこの時期に楽しむ秋の味覚だ。

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細かく刻んだポルチーニを刻んだにんにくと一緒に炒める。

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じゃが芋の上に乗せて・・・。

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パルミジャーノチーズをたっぷりかける!

教室でこの時期によく使う乾燥ポルチーニは生のポルチーニと比べると、干し椎茸と生の椎茸が香りの差を考えればよく分かるようにかなり違うものだ。そらぞれの良さがあると思う。
この秋のメニューは、タリオリーニに乾燥ポルチーニを戻したものをシメジやエリンギを一緒に炒めたものを使ったソースと合わせた。シンプルだけれど落ち着く味。いつ食べても美味しいと思う味。家庭料理には大切なことだと思う。










  1. イタリア
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晩夏の畑 :: 2021/09/12(Sun)

夏の終わりの畑の様子
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今年は唐辛子が豊作。
3株植えたので、当分唐辛子を育てなくてよさそう!

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雑草を抑える為に植えて置いた南瓜。だがしかし、「こんなツル何ともないね!」と言わんばかりに雑草はのびのびと生えている。
大きな南瓜が取れそう。

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一本だけ苗を残しておいた米茄子。頑張れ!

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オクラも今年は結構まめに採った。もう少し大きくなるまで待とうと思わないことがコツ。

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そして、これは大いに自慢したい里芋。勝手に生えてきた!私の肩の辺りまであるのだよ。
ほとんど密林の中で育てられているタロイモのようだが、事実はそこまでも手をかけていない。手をかけてもできないものはできないし、できるものはできるのである。まあいいかげん。

  1. 畑の様子
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