fc2ブログ

Reginella Campagnola~村の娘~

手作り生パスタ教室「Il Sole」の主催者が日々の生活をお伝えします。



イタリア料理を知る その12 :: 2023/07/03(Mon)

イタリアの料理学校に来たといっても、成田空港からローマ経由でピサに到着し、そのままバスでルッカまで来て2週間。ルッカ以外の場所に行くこともなく、イタリアに来たというよりもルッカに来たといった方が正しい。この日は女性4人でバスに乗り、ルッカの中心部に出てお昼を食べた。駅に近いピッツェリア。確か泰子ちゃんが日本で通ったイタリア語学校の友人も加わり5人でテーブルを囲んだと思う。泰子ちゃんは、イタリアに来る前にしっかりイタリア語を勉強してきていて、以前にもイタリアに滞在歴のある彩子ちゃんとの二人は、料理実習の後、昼食を挟んで行われるイタリア語の授業では上級者のコースに入っていた。ルームメイトのエリちゃんと私は初級者コース。振り分けの面接が初日にあり、先生の質問が本当に一言も分からなかった。先生の困惑した、その後にこりゃ駄目だといった顔が今でも忘れられない。ルッカに行く前にNHKのイタリア語講座の初級くらいは聞いて行こうと思ったのだが、仕事の引継ぎ等で忙しく勉強する時間はなかった。本当に挨拶以外、数も数えられないまま到着してしまったのだ。

イタリア語の最初の授業、品のよい顔立ち、優しい笑顔のアンナリーザがペットボトルの蓋をつまんでいった。「タッポ」。この学校を出た後はそれぞれ、レストランの厨房で研修に入るのだから、まずは調理に関する物事をイタリア語で解るということは重要だ。数年後にルッカの語学学校に通って分かったことだが、その他は基本的にイタリア語が全く分からない人向けの段階を追った授業だったと思う。隣の教室の上級者用コースでは、文章になったイタリア語が聞こえてくる。それに比べ私達初級者コースでは、お昼ごはんを食べた後で、皆眠くなりうとうとし始めると、アンナリーザがどこからか見つけてきたサッカーボールを手に取り、これを投げ合いながら知っている魚介類の名前をイタリア語で言いなさいと皆を引き連れて中庭に出る。皆がオラータ(鯛)、コッツェ(ムール貝)、カラマーリ(烏賊)などと言いながらボールを投げ合っているという具合だ。

私は学校を出た後にレストラン研修には参加せず、家庭料理を知るためにイタリアの家庭に滞在しながら各地を回る予定だからまだよいが、この語学力で数か月後には厨房に放り込まれるクラスメイト達は大丈夫なのだろうかと皆の前途を思い心配するというか、厨房でシェフの指示をイタリア語で受けて調理する彼らの姿が全く想像できなかった。

DSC01556.jpg


初級者から上級者までてんでばらばらのこんな語学力で、日々の調理実習でイタリア人シェフのいう事は理解できていたのかというと、森田さんという素晴らしい通訳がいて問題はなかったのだ。さっぱり分からないイタリア語。文法の複雑さは勉強する気持ちを萎えさせる。ある日の夕食に森田さんと同じテーブルになった。何の話をしているときだったか、森田さんがイタリア語には猫が泣くという意味の「ミャゴラーレ」という動詞があるのよと言った。なんと可愛らしいと思った。なんとなくイタリア語が好きになれそうな気がした一瞬だった。森田さんがイタリアのペルージアの大学でイタリア語を学んだ初日は、一本の無声映画を見ることから始まったという。映画を見終わった後に、ストーリーを確認するとほぼ想像した通りだったと。言語はコミュニケーションの道具だが、人の表情や立ち振る舞いなど、言語以外の事が実はとても大事だということなのか。自分たちの言語を教える前にそんなことを伝える学校は素敵だなとも思った。
(2010.3.14)
スポンサーサイト





  1. イタリア料理を知る
  2. | trackback:0
  3. | comment:0
<<イタリア料理を知る その13 | top | イタリア料理を知る その11>>


comment

comment


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://solepasta.blog112.fc2.com/tb.php/717-27b73022
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)